DevLove / 縦サミット参加レポート (2) - よしおかさん編


つづきまして、縦サミットのレポート、今回はよしおかさんの分です。長めになってしまっているので、どうかご容赦下さいませ。


※スタイルとして、お話しを伺っている時に書きとめたメモ、簡単なスケッチを載せていますが、不都合な点、配慮が足りない点は、どうかご指摘いただければ幸いです。

4. ハッカー中心の企業文化を日本に根付かせる - よしおかさん (@hyoshiokさん)

よしおかさんの講演資料は、デブサミの後に拝見し、社内のOSS-CONTACTのMLにご紹介させていただきました。
というのも、社内で勉強会を開催すること、また、社内で社外の勉強会を開くことの意義やメリット、デメリットについて触れられていて、きっと共感したり役に立てていただけるんじゃないかと思ったからです。テクニカルな内容よりは、むしろどんな業種、立場にも役に立てることのできるノウハウが詰まっていました。
ですので、ご本人の講演を生で伺うことができた、とても有難~い機会でした。

はじめに:


本題に入る前に、『質問』することの心構えや大切さについて触れて下さいました。
    • 質問のコツは、講演の内容を聞かないうちに考えておくこと。
    • 特に海外のセッションや英語など日本語じゃないセッションでは、あらかじめ質問内容とどう話すかを考えておかないと、余裕が無くなってしまう。
    • また、講演内容を聞いていくうちに、本当に質問したかったことがぶれてしまう。(だからできるだけ事前に決めておくことが大事)
自分が素晴らしいと思っている物事を紹介する。それをどう実現するか、みんなで考えるきっかけを作る。
今日できることを考える。スキルと知識の差は何かと言ったら、『出来るようになること』がスキルである。『質問する』ことも、訓練をしていきましょう。
  

よしおかさんのお顔を拝見し、お話しを伺うこと自体初めてのことでしたが、飄々として、魅力的なお話しぶりをされる方だな、という印象を受けました。(おかげ様で楽しくメモも取らせていただきました)
個人的に、蚊やり豚がなんとも可愛らしいと感じています...。
企業の組織文化を記述することについて:
    • 企業文化は、本来、『中の人』でないと知りようがないもの。(人の異動や、転職などにより、ゆるやかに口承などで伝えられることはあるが....)
    • 企業文化を記述することで、その企業の『何が良いのか』が分かってくる。
    • 民族誌を例にとるならば、『その文化では、当たり前として受け止め、行われていること』を記述する。
    • 例えば、ある会社では『勉強会は当たり前のこと』と考えられている場合、それはなぜなのか?
    • 理由を明確に伝えないと、異文化(異なる組織)には、そのメリットやデメリットが伝わらない。
...と、このあたりまでお話しされたところで、『ストップウォッチ押すの忘れてた...』という、1コマがありました。


#組織文化を改めて記述してみる、というのは面白いなあと思いました。地理学科という、フィールドワーク中心の学科出身なので、なんかこのあたりは嬉しくなってしまいます。
引き続き、セッション内容です。 スライド&中継の資料のほうが確実ではありますが、メモしている分を書き起こします。
DECのスタイルの紹介:
    • ミッドナイトプロジェクト(Googleで言う20%ルール)が、むしろ『推奨』されていた。
    • 社内コンピュータのネットワークですべて繋がっていた。(ただし、スタンドアロンでは使わず、分散してるけど繋がっている)
    • VAX Notesという、社内の巨大掲示板があった。
    • ありとあらゆる情報が共有されていた。(開発日誌でも、なんでもかんでも!)
    • 世界中の、見たことも会ったこともないDECのエンジニアの日誌を読んだりできた。そして、実際に会えたりすると、ものすごく感動!(あの人だ~!)

実は、ここまでの話で、『ああ、質問したいなあ~』という内容が出てきました。結局できなかったのですが(;_;)

というのも、『統制』というキーワードで、『情報統制』のことを思い浮かべて、こういったオープンな巨大掲示板でいろんな情報が交わされるのだとすると、お客様の情報とか、一般社員が知っていてはいけない情報なんかも紛れる可能性があるかと思ったからです。そこを参照したり、書き込んだりするために、なんらかの認証やコントロールはあったのか....と。で、80年代はオープンだったとして、その後はどうなっていったんだろう...と。

ただ、よしおかさんの語られた意味の『統制』は、そうした情報統制のことではなく、文化や価値観を共有しあうことで、企業としての一体感を生み出すという意味での統制ということかなと思っています。(あってるかな?)

ハッカーって?:
    • 何かをやった人。(世の中を変えちゃった人)
    • よしおかさんの場合は、行動するエンジニアになりたかったとのこと。


ハッカーの倫理:
    • 共通の価値観を持つ
    • コンピュータで社会を良くする
    • ラフなコンセンサスと動くコードを大事にする
    • 許可を求めるな、謝罪せよ

ハッカー中心の文化を必要とする企業は?:
    • 良いソフトウェアを必要とするすべての企業!
    • 最高のプログラマを雇えばいい。(そう言っちゃうとみもふたもないけど)
    • 最高のプログラマは最高のプログラマのいるところで働きたがる。
    • 『こんなアプリが良いな』『こんなものが欲しいな』といくら言っても、案があっても、作れる人がいなかったら絵に描いたモチだよね


なぜ必要なの?:
    • 社会善 (世の中を良くするためのものを作るんだよ、という大きな使命感。....ただしこれは偉い人向けの建前でもある :-P)
    • 企業の競争力 (そうしていかないと生き残れない)
    • ベストプラクティス (デスマーチ知らず。楽しんでやれるのって大事!)
    • + ハッカー中心の文化は気持ちいいから (よしおかさんの個人的な理由)


どうやってハッカー中心の企業文化を作るか?(作るだけじゃなくて、伝承するか?):
    • 暗黙知の継承
    • 形式知の継承
    • 楽天という会社の中ですら、文化の衝突がある
    • 組織が大きくなると、タコツボ化してしまう
    • 部署を超えた、『クロス・ファンクション』は、言うほど簡単じゃない!

ここまでで、『ううむ...』と思いつつ聞いておりました。私はスキルのあるエンジニアでも、偉い人でもなく、一平社員の身分なので、『お前に言われんでもわかっとる!』と突っ込まれると思いますが...。


ちなみに、ここでよしおかさんの一言。


『タコツボ』を英語で表現すると、『サイロ』がそれに該当するんだとのこと。ちょっと検索したら、こんなブログを見つけました。

http://blogs.yahoo.co.jp/kenfsakai/38913019.html / 企業のサイロ化



そこで社内勉強会!:
    • 志を共有するメンバーでドライブする。(上からの強制ではない。上からアサインされた、組織を超えたプロジェクトではない)
    • コミュニケーションは組織を活性化させるビタミン!

ここでまた個人的な感想。コミュニケーションの活性化を狙って社内SNSとか、社内限定コミュも立ったりしていますが、今一つ盛り上がらなかったりするのは、大義名分の関係もあるかなあ....と思ってしまいます。『ビジネス上の自分のスキル、技術向上』という目的も見いだせる勉強会のほうが、より前向きですし、業務につながる分、精神的にも気持ちよく取り組めるかなと思っています。

xxxクラブ的な、単純な交流目的のクラブでは、『そんなもん業務時間中にやるな!退社後とか週末にやれ!』的な後ろめたさも感じたりしてしまうかなあと思っています....。
そういう意味で、勉強会というのは、いろんな面から見ても『好ましい』ですよね(^^
勉強会の意義は、多くの方が肌身で感じられていると思うので、うんうんと聞くに留めています。

さて、お話しは続きます。

一番伺いたかったのは、『社外の勉強会を社内で開催すること』の意義でした。わたしの会社でも、そういう志を持っている方々が、定期的にではないですが、いろいろなイベントを開催することがあるからです。そういう活動の意義を再確認できたらな....という想いもありました。


社外の勉強会を社内で開催すること:
    • 本当は、(自分の好きな/知りたい)勉強会をやりたいから引き受けるんだ。
    • でも、それだけでは組織の中は進まないので、メリット・デメリット(リスク・コスト)をきちんと説明することが重要。
    • メリット、デメリットがある。(メリットについてはあえてメモしません)
    • オープンイノベーションの時代。
    • 技術は会社のものではなく、社会のもの。
    • 会社の中での活動を通し、社会を良くするためのものを実現していこうという価値観。
    • デメリットと思われる点は?
      • 情報漏えい -> 会場以外は入らせないことで防ぐ。
      • 会場提供 -> 直接的な費用はほとんどかからない。(光熱費はかかるかな)
      • 時間外勤務 -> とは言っても、残業でも出勤扱いでもないのでコストはかからないはず。
    • 企業イメージの向上や社員のモチベーションアップ、人材の交流のメリットの方が大きい
    • 開催のメリット -> 開催のコスト (よしおかの勉強会第一の法則)

勉強会継続のポイント:
    • 勉強会は極めて俗人的
    • 情熱と仲間が必要。(これはかなり痛感しています)
    • 暗黙知や価値観の共有が必要。
    • 維持、継続していくためには方法論や戦略が必要。(これも大事ですね~)
    • ガイドライン、戦略、ルールを形式知化することも大事。

幸いにも、わたしの職場では、イベントをホストしてくださった先輩たちが、設備利用の際の管理部門・総務部門とのワークフロー、主催者側とのやりとりの流れといったノウハウをまとめておいて下さっているので、ゼロからのスタートよりは格段にやり易くなっています。
よしおかさんのスライドも併せて、たくさん苦労されたんだろうな....と思いましたし、先人たちは、確かに社内のワークフローにも外にも通じている方になっています。(いまさらながら本当に感謝)



わたしも開催のメリット > 開催のコストだと思っています。

しかし、これも仲間がいないとできません(^^;


子どもが小さいので、夜や週末にそんなに時間を取れないということもあり、『やりたいよね』、だけではできないんだということをひしひしと感じています...。


そしてまた、いま、精力的に活動されている方々でも、そういった時間を取れなくなる時が来るかもしれません。(おおきなお世話か??)

だからこそ、こういう想いを絶やさないように、文化の伝承や価値観の共有をし、あとに続いてくれる皆さんを増やし育てていかないといけないなあと感じました。
そしておそらく、そこから生み出された良いものに、自分の子どもたちが振れて、感動してくれるなら、どんなに良いだろう...と。 (なんというか、母親モードの感想で申し訳ございません...)

よしおかさんの Post 3.11


よしおかさんも、新たにご自身の言葉で語っていらっしゃったので、メモを書きとめておきます。


やはり、『仕事をするって、どういうことだろう?』という想いや、なかなか会社としても、世の中も動かないことへの絶望感も感じられた、と仰っていました。

その上で、震災前に戻ることはできないから、その意味を良く考えよう、震災が組織を変える機会だと思って進んでいこう、と。

被災地に行って何かできるわけじゃないけれど、電力削減は自分たちでできるはず、という想いで、Project60という取組をされているとのことでした。
オフィスの小さな節電から、DCのオペレーションの方法を変えるということなど、やれることはたくさんある、なんでもやってみようと、と仰っていました。



それこそ、ハッカー的な行動だよね、と。



実は、その後、節電の取り組ででなにかできないかという話が部署で持ち上がったので、よしおかさんにうかがった内容も紹介させていただきました。
小さいことから、個人の信条でそれは無理!というものまで、いろいろ議論や意見が出てきましたが、『できることから』という想いは皆さん持ってくださったようです。
いわゆる、『ハック』なTipsも自然と提案がされてきました。


こういう動きは、会社ではなく、『社会を良くするためのハック』だと思っています。


よしおかさん。貴重なお話、本当にありがとうございました。

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